film
朝のあいさつ
小谷俊次郎
 私はずーっと、「在家仏教こころの会」で、職員できたものですから、高校を卒業してから、ほとんど、接する人が会員ばっかりでした。会員には友達もいるんですけど、今、住んでいる川口には誰もお友達がいないという状況で、“友達をつくっていかないかん”っていうんで、“ラジオ体操”に行ったり……。それから、町会に毎月1回、“清掃活動”っていう公園を清掃する活動があって、そういったところに出ていると、お誘いがくるんです。
 で、今まではお誘いを断っていたんですよね。「日曜日は絶対、こころの会の行事があるので、出られないから」と断ってきたけど、“もう年を取ってきたし、いいだろう”って、“地元でできる活動”ということで、お誘いに乗りました。

 町会に「交通部」っていうのがありまして、交通と防犯を兼ねて、お巡りさんの制服みたいなものをくれるんですよ。何万もするやつをくれるものだから、「ちょっと、もう辞めます」なんて言えない状況になりまして、今もやらしてもらっているんです。
 そこで、3年ぐらい前からですかね、「小学生の見守り活動を『交通部』でやってくれ」っていうような話があって、やらしてもらっているんです。
 毎日、だいたい、100回から150回は「おはようございます!」って、言っていると思うんですけど、通る人に声をかけて、子どもたちはなんて言うんでしょう、朝は眠いんですかね!? 班ごとに、だいたい7から8人で組んで、スーッと行くんですけど、あいさつもそこそこに行くわけです。声をかけてくれる人って、少ないんですよ。
 だけど、その中で一人、4年生の子がなんだかんだと声をかけてくれるんですよ。で、僕もちょっと、耳が遠くなってきているものだから、何を言っているのか、よくわかんないことがあったりして……、でも、その子とちょっと、しゃべるようになってきました。
 で、しゃべるようになってくると、学校のこととか、「クラブはこういうふうにやっている」とかって言ってきてくれるので、ちょっと関心を持つようになったりして、そういうやり取りがあると、なんか、嬉しくなるんですね。
 まぁ、大勢の中には、挨拶をしても返してくれないっていう人が、2、3割いますかね。もう頑固として言わないっていうような人もいるものですから、くさっていると生徒がちょっと、ホッと声をかけてくれることで、また 元に戻してくれるっていう毎日をずっと、送らしていただいております。

 で、まぁ、少しずつ友達も増えて、“ウォーキングの会”とかもやっているものですから、そういったところで応援してくれる人もできてきました。
 まぁ、なんて言うんでしょうか、コロナもあったものですから、やっと、今年からマスクもしないで、遠慮なくしゃべれるようになったこともあって、少しずつ、相手の話も聴くことができるようになってきました。
 私は誘われて、“料理教室”まで、今は月1回、行かしていただいているんですが、「男の料理教室」といって、まぁ、年寄りが……。“年寄り”って言っちゃいけない、自分も年寄りですが、男の人って、あんまり言うこと聞かないものですからね。女性の先生がいるんですけど、その人が説明しているのに、もう作り出しているんですよね。
 昔は“そういう人もなんとか、この教えで、いい状況をつくろう”というような、そっちの方が先行していましたけど、“そうじゃないんじゃない?”と。その人たちも、やっぱり、そこで元気に生きようとしているわけだから、“自分もそういう人たちの中に入って、人の役に立つようなことができていければいいんじゃないか”という気持ちに、今はなっております。
Copyright©2023