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やっぱり良い!お嫁さん
大森登紀子
 お嫁さんに対して、あの時の気持ちっていうか、日常生活の中でも、やっぱり、その関係はそんなに変わらないんですよね。やっぱり、続いているんですよね。で、先日も食事の支度の件でやっちゃったんです。
 食事の支度をするのに、普段、二人とも、私も働いているものですから、早く帰った人が夕食の支度をすることになっているんですね。でも、日曜日はお嫁さんがずっと居て、私は用事があって、帰ってきた時に食事の支度ができていなかったんです。
 なので、「あら、夕飯はどうしたの?」って言ったら、「今、やります!」って。“あれ?”と思って、「じゃあ、お願い」って言ったら、その日、チャーハンを作ってくれて、その辺のところにガーン!! って、ガーン!! って、置いたんですよ。“あぁ、やだなー”って、こういう、仕打ち? って……。

 なんか、すごーく、それから気持ちが、こう、ムシャクシャムシャクシャして、我慢できなかったんです。
 “こういうの、これからもずっと続けられたら、やだなあ”と思ったもんですから、思いきって、“話しあおう”と思って、「ちょっと話があるんだけど」って言って、二人で話しあったんですね。
 そうしたら、本人は「何のことですか?」って言うんですよ。「えっ? 何のこと?」って。で、「あんなね、チャーハンを作った時に、鍋をバタンって置いたの……」と言ったら、「それ、何のことですか?」って。
 “えーっ?”って思ったんですけど、「私、そんなつもりはありませんでした」って言うのね。だから、“あー、この人はそういう行動を、自分じゃあ、やっているつもりでやっているんじゃないんだなー”って、初めてわかったんですよ。
 で、それからずっと、お嫁さんの行動を見ていると、結構、あのう、男っぽいし、乱暴なところがいっぱいあるんですけど、そうやって見ると、“これは、お嫁さんがわざとやっているんじゃないんだ”っていうのがわかったものですから、この話をしたら、お嫁さんの方が「私も、これから、そういう行動に気をつけます」って言ってくれたんですね。

 だから、“話して良かったなぁ”って。話さないで、一人でモヤモヤしてたら、ずーっと関係がやな関係になっていたと思うんですけど、やっぱり、『聞く 語る』っていうか、“相手の気持ちを聞く”っていうことが、“こんなに大事なことなんだなぁ”っていうのを実感しました。
 それから、そういう思いで相手を見るようになったら、いろんな行動が気にならなくなってきて、今は本当に、なんて言うか、いろんなことを一生懸命やってくれることが“ありがたいな”と思える。前は、“娘”なんて思うなんてとんでもない話だったんですけど、今は本当に娘以上に“良いなぁ、良い人なんだなぁ”っていうことを、最近はね、やっと、思えるようになりました。
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