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良い!お嫁さん
大森登紀子
 主人が亡くなって、もう1年ちょっとになるんですけど、どこにも行きたくなかったんです。どこにも出たくなかったし、“どうしようかなー?”と思っていたんですけど、南関東ブロックの一泊のつどいに来て、本当に、“よかったなぁ”と思います。
 昨日、息子が自分のことを話してくれたんですけど、今55歳で、35歳まではずーっといい子だったんです。私はいい子が当たり前だと思っていて、35歳でお嫁さんと結婚したんですが、そのお嫁さんが私としてはタイプじゃなかったんですよ。
 でも、話はこれからです。
 許せなかったんですけど、「自分の相手ぐらい、俺に決めさせろ」ということから、いろんなことが私にふりかかってきて、息子が私の悪いところをどんどん、言うんですよ。「こころの会をやっているくせに。そんなのはやっている価値がない!」、「いくらやったって、人間的にお嫁さんの両親の方がよっぽどできている」とか、言うわけです。それがね、ぜーんぶ、憎らしくてね。“その人と付き合わなければ、そんなことを言われなくてすんだのに”って。でも、やっぱり、“息子が私を変えてくれたな”と思います。
 主人が亡くなって、なにしろ、一人で居ることがつらかったんです。うちは同居ですけど、2所帯で区切られていて、一人で居ることが多いんですよね。で、お嫁さんに「なんか、一人で居ることがすごく怖いし、つらいことが多いんだけど……」って言うと、「おばあちゃん!」って。
 「あのね。日本中で一人の人は山ほどいる」って、そういうお嫁さんなんですよ。で、私も“なるほど、そうだなぁ”と、慰められるよりもよっぽど元気がでるんですよね。そういうことがあっても、私はお嫁さんに対して、まだ満足してないところがいっぱいあるんです。
 だけど、たまたま、ここへ来る前に、こちらにいるヒデユキ君、ハヤシダさんの弟さんですけど、来るっていう約束をしたんだけど、寝坊しちゃうと大変だから、電話したんです。そしたら、ヒデユキ君のお嫁さんがでて、「本当に、いつもお世話になります。ありがとうございます」って。そういうお嫁さんなんですね。だから、ハヤシダさんに「すごく良いお嫁さんだねぇ」って言ったんです。そしたら、ハヤシダさんが「大森さんのお嫁さんだって、すごい良いお嫁さんじゃないですか」って。お嫁さんは家業である保育園のことを必死にやってくれるんです。
 だから、あぁ、そうか! って。今回、来て、“あぁ、良いお嫁さんなんだ!”って思えたんですよ。だから、やっぱり、“見方”。これから、もっと、もっと、つき合っていこう! と思いました。


 (平成30年9月29日~30日「南関東ブロックの一泊のつどい」にて)
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