film
大好き!
信國多恵子
 今、主人と2人で暮らしていて、長男夫婦のお嫁さんがパートに出るようになって、孫の面倒をみているような、みてないような状況なんですね。
 で、この前の4月20日の土曜日なんです。長男のところの娘2人と長女のところの娘、女の子3人のいとこなんですね。その子たちが「家に泊まりに来たい」ということで、しょっちゅう泊まりに来ているんですけど、20日に来ました。
 そして、お風呂に入って、髪を乾かしたりして、いろいろしていた時に、長男の孫が私とは違うオバアチャン、母親の方のオバアチャンのことを常日頃から言うんですね。「あっちのオバアチャンから洋服を買ってもらった」、「あ、良かったね!」、「なんとかしてもらった」、「あ、良かったね!」、そんなふうにして、常日頃の私は言うんです。
 こころの会の会員ですからね。ひがみっぽくなったらいけませんから、「あ、良かったね。良かったね」って言っているんですが、その日、20分ぐらい、女の子2人に、ずーっと言われたんですね。オバアチャンの良いところ、あっちのオバアチャンですよ。みんなから好かれて、お友達がいっぱいいる。学校に何かを教えに行っているとか、もう、いろんなことを言われた時に言葉が出なくなったんです。
 普段は強い私ですから、パッパッと言う方なんですけど、言おうにも言葉が出なくて、じーっと黙っていて……。そして、夜、寝る時に目をつぶったら、じわーっと、波が出てきたんですよ。あら、これは何だろう? あっちのオバアチャンが悪い訳じゃなし、孫が「オバアチャンが好き」って言っているから悪い訳じゃなし、私も悪い訳じゃなし……。誰が? なんだろう? わからなくて、でも、気が重いんです。目をつぶったら涙が出るのは、なんだろう? なんだろう?

 私は孫を世話するようになって、学校から電話がかかってきて、孫の具合が悪くなったら迎えに行ったり、手を切ったら病院に連れて行ったりと。長男夫婦が少しでも大丈夫なように、少しでも助けられることは、もう無条件で助けたいという気持ちで一生懸命していたんです。
 それが自分のこころにあったか、分からないんですが、その次の日、日曜日に子どもたちが帰っても元気にならなかったんです。こころが重―くなって、この思いは娘に話そうって思ったんです。
 どうしてかって言ったら、主人とはケンカっていうか、もう、私だけがイライラ、イライラしている夫婦なんですよね。「全部、私がするじゃない! もう!」って、こころの中で思っている夫婦なんです。だけど、夕方頃になって、主人と2人でいた時に出たんですよ。言葉が。
 「あのね、実はね、こうこうで、こうなのよ!」って言ったら、主人が「そう、夜はお弁当でもいいよ」って言ったんですよね。そうしたら、こころがなんかスーッとして、「ああ、これなんだな」って。
 人に「聞いて、話して、穏やかとか、しあわせになる」って、私も人にはずっと言ってきました。だけど、自分が実際、大嫌いな、大嫌いな……、“大嫌いな”って悪いですね、主人に。
 主人に言ったんですよ。そしたら、ホントにこころが軽くなって、“あー、良かった。これ、なんだ。こういうことを言っているんだな”って。
 だから、私も「人さまの話を聞きましょうね、話しましょうね」と言ってきて、その時に初めて、自分で実感しました。だから、主人を大事に、二人でやっていきたいと思います。広げていきたいと思います。
Copyright©2023