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しあわせになる近道
盛川早苗
 昨年、主人とちょっとしたことでケンカになって、その話をみなさんに聞いてもらったんですが、あれからずっと、良くなるどころか、自分の気持ちがますます悪くなっていって、主人を本当に信じられなくなってしまったんですね。もうずーっと、疑心暗鬼な気持ちで……。
 そうなると、何をしはっても疑うんですよ。「どっか出るわ」、言わはっても疑ってしまう。「銭湯行ってくるわ」、言わはっても疑ってしまう。なんか知らん間に、主人をがんじがらめにしているんですね。
 で、主人をがんじがらめにしたら、自分もがんじがらめになってるんですね。それに、こだわってしもうて。そっから抜け出せない自分が、だんだんとイヤになってくるんですわ。
 ほんで、“もう、これ、なんとかならへんやろか?”、“こんなん、あかんわ。私、病気ちゃうやろか?”とか、思ってたんですけどね。

 去年の9月ぐらいから、未だかつてない、私にとっては修行をしてるんですよね。ほんで、一生懸命、ずーっと、さしてもうてて、もういっぱい、いっぱい、お経もあげてます。
 で、ある日、ふっと、“こんな一生懸命やってんのに、こんだけさしてもうてんのに、なんで、なにも返ってきいひんのやろ”と。なにか見返りを求める、そんな気持ちでいることに、なんとなく、そんなふうに感じたんですわ。
 ほんならね、ふっと、今まで主人に対しても、子どもたちに対しても、いっつも、なにか見返りを求めてたんと違うやろか!? って。
 私、あんたらにこんだけ、やってあげてんのに……。子どもにも、お金も出して、勉強もいっぱいさして、あんたら、なんで言うこときかへんのやとかね、そういう気持ちでずっと、いたんです。

 ほんで、主人に対しても、自分では一生懸命、尽くしてるつもりでいたんです。だけども、なんか、“こんだけしてもうて、当たり前やんか”って、そんな気持ちでいたことを感じて、“自分が今までやってきたことが、もう、えらい間違うてたんちゃうやろか”と思うて、そう思うたら反対に“こんな私に、よう、主人も付き合うてくれたわぁ”と感謝する気持ちがうまれてきたんですわ。
 で、周りの人にも感謝するっていう、そういうふうな気持ちになってきたんです。
 ほんで、一時は「神も仏もあれへん」って、そんなんとか思うたんですけど、そんなことはないわ、神も仏も自分の中にあるのんちゃうかなって思いました。
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