film
母へ・・・
金定華織
 私、34歳なんですけど、ものすごい期待されて、育てられたんですよ。
 親が期待するような、理想な子に近づこうと思って、ずっと、一生懸命、やってきたけど、どっかでそれがぶち切れて、違う方向へどんどん行くようになってきてね。
 まあ、人から見たら、フツーじゃないような生活にもなったし、それで、人とのコミュニケーションができなくなって、なんか、すごい、孤立したような世界に入っていったり……。
 親に小さい時から、親が思う通りの子じゃなかったら、「お前、何で、ここにおんねん!」とか、存在を認められへんようなこと、よう言われてきたよね。
 でも、娘は娘で、親とコミュニケーションとりたいし、“どうやったら、私のこと、ホンマ、わかってくれるのかなぁ”と思って近づくねんけど、やっぱり、親は自分の思う通りの娘であってほしいし、それに近づかれへん自分がいてて、うまいこと、いけへんかってんけどね。

 うちのお母ちゃんも、小さい時に自分のお母ちゃん、私からみるとお祖母ちゃんに“子どもと親という関係”で育てられたんじゃなくて……。なんか、もう、めっちゃチビの時から、一人前の女みたいな育てられ方をしたから、親にどう甘えていったらいいかわからへんし、まぁ、いまだにそうなんですけどね。
 で、“いつか言うたろ、いつか言うたろ”っていうのがあって、あることがきっかけで、私、そのことを親に言ったんですよ。
 「お母さんはお祖母ちゃんに、そんなこと、言われたことあるやろ?」って。で、「そんなん言われて、寂しくはなかったん?」、「もっと、お祖母ちゃんに甘えていきたくなかったん?」って、言ったんですよ。
 うちのお母ちゃんも、「お母さんもお祖母ちゃんに甘えていきたかった」って。「お前らのこと、好きやけど」、私、弟いるんですけどね、「お前らのこと、好きやけど、お母さん、どういうふうに対応していいか、わからへん」言うて、泣いて、言わはったんですよ。

 で、私、そん時に“あっ! そうや! お母さんもそうやったから、そら、わからんわな”と思ってね。
 だから、今まですごい、私に期待ばっかりかけてて、「お前はもう、いっぱしで、いつでも、何でもできるやろ」みたいなふうに言うてくるお母さんを大っ嫌いやってんね。“自分の思い通りにいくと思ったら、大間違いなんじゃ!”みたいなぐらいに……。
 でも、それ聞いた時に“あっ! そら、そうやわ!”って。“知らんかったら、そんなことも言うわな”みたいなね、なんか、お互いにちょっとだけ、スッとできた。お互いがお互いに、ちゃんと、見れるようになった。
 そのことがあってから、うちのお母ちゃんも、私に対してね、「お前えらに、ほんま、期待ばっかりして、悪かったなぁ」とか、話の時に言わはるねんね。
 まぁ、私もこの歳で、独身で、結婚もせんと親のスネをかじってるような感じで、家に居さしてもうてるし、そういう親の気持ちをチラチラ見せてもらうと、やっぱり、謙虚にじゃないけど、“私ができる範囲で、親には、してあげようかなぁ”と思って、今は生活してます。
 できれば、良い状態でね、家、出たいんで、もう少し、コミュニケーションとりながら、頑張って生きていきます。
Copyright©2023