No.63

3.11から家族の大切さを再確認、
妻の話も聞ける自分になれた

福島県郡山市 杉田秀一(64歳)

昨年、三月十一日の東日本大震災において、マグニチュード9.0という今まで類のない地震を体験し、いろいろと感じさせられることがありました。

震災時、妻は仙台に住む長女が二人目を出産し、その世話に行き、次女は東京で小学校の教員をやっているので、家には私一人だったんです。震災前までは、妻が長女の所に出かけ、〝一人も気楽でいいな〟と思い、好きなことをやり、好きな酒を飲む生活をしていました。
でも、家族と電話やメールが通じない状況になり、とても不安になりました。普段はいるの が当たり前でしたが、震災直後は家族と話したくても話ができず、家族の状況がまったく見えませんでした。

郡山は震度六弱、仙台は震度六強で、仙台にいる娘はたまたま制震構造のマンションに住んでいて、物が落ちたりすることはなかったようです。でも、ガスと水が出なくなり、妻は生まれたばかりの孫にミルクを飲ませるのに、とても大変だったみたいです。そういう話を妻は私にしたいけど、話す機会がないままに一ヶ月が経ち、止まっていた新幹線が動きだして、妻が家に戻ってきました。

以前は、私も役所勤めで疲れていて、妻の話を「うん、うん」と聞いているフリをして、適当に「わかったと(笑)。妻に「私の話を聞いているの?」と言われても、「聞いている、聞いている」という生活だったんです。でも、〝知らない土地で、大変だったんだろうな〟という気持ちから、妻の話をちゃんと聞くことができました。

私はこの震災で、家族の絆、家族の大切さを改めて気づかせてもらい、日頃の家族の会話が大事だと感じています。
あと、私はふくしま建築住宅センターで建築確認申請の審査の仕事をしています。建築確認がおりないと住宅やマンション、工場は建築できません。毎日、設計事務所の人たちと、建築図面が建築基準法と合っているかをチェックしています。

災後、郡山市では全壊、半壊の家が二万軒ほどあり、国土交通省の住まいに関する無料相談窓口、「住まいるダイヤル」ができました。仕事ではないですが相談の電話を受け、相談相手は「ぜひ、家を見てもらいたいと言われます。
実際に行くと、「修理をするにしても、どう言っていいか、わからないとか、「このまま住んでいて、大丈夫でしょうか?」と、いろいろなことを言われます。言葉を交わし、「補修すれば、大丈夫ですよ」と言うと、相手はすごく安心されます。

仕事以外で、震災後、住宅の相談で何十軒と見に行ってきました。みなさん自分の思いを話し、高齢者の夫婦などは「話を聞いてもらえただけで安心できた」と言ってくれます。そういう「聞く」活動を通して、これからも、なにか人の役に立っていきたいです。


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ΩΩΩ

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