No.45

気づき合う人との関わり

岐阜県岐阜市 八橋千代子(60歳)

 

私はこころの相談室の相談員をしています。こころの相談室は秘密厳守です。
私自身、人と向き合うことが下手ですが、人との関わりは簡単にできていくという考えでいたんです。だけど、こころの相談室に関わる中で、相談員が相談者の話を丁寧に、丁寧に聞いて、相談者自身に自分の問題に気づいていっていただくことを、時間をかけて丁寧に繰り返すんです。その姿を見て、私は「在家仏教こころの会」の教えというのは、こうやって人と関わり合っていくことなんだと学ばせていただきました。

平成15年9月に、うちの夫は、何もかも背負い仕事を頑張ってきて倒れました。その病気が治ったと思ったら、心の風邪になっちゃったんです。 
その時に「仕事を辞めたい」と言い出したんですが、私は“仕事をすることで自信を取り戻して元気になる”と勘違いして、「できるから、心配しないで」と言ってきたんです。うちは自営で、“仕事から解放されてラクになりたい”という夫の気持ちが、わからなかったんです。だけど、息子が夫の話を聞いてくれて、「つらかったら、やるからいいよ」と仕事を引き継いでくれたら、夫が少しずつ明るくなってきました。

私は、夫とこころが通い合うことができなかったんです。こころの相談室で人の話を聞くことをやりながら、いざ自分の問題になると逃げる自分がいたんです。だけど、夫が病気をしたことによって“それでは、ダメだ”と気づき、夫と向き合い、話し合うことで夫の叫ぶ声が聞こえてきました。自分がやれていなかったことをやってみて、気づけたことです。夫婦でお互いが思っていることを語り合って、気づき合っていけば、絶対に道が見つかると思います。

今、私たち夫婦は娘家族と一緒に住んでいて、「娘さんだから、ラクでしょう」と言われるんですが、毎日の生活は娘夫婦も二人の子供を育て、親として悩みながら生きているんです。それを今までは娘以上に孫たちと関わっていこうという姿勢だったのが、“そうじゃないんだ。私は娘夫婦を支えていけばいい”と。家庭でも丁寧に、丁寧に聞くというこころの相談室のあり方を活かせていけるように少しずつなってきました。

人のこころの難しさ、そのこころが生まれ育ちと環境の中からできていくことに気づき、今は一人ひとりを大事に思い、人と関わり合える自分がうれしいです。こころの相談室で、大きな大きな宝を得たような気がしています。

(大きな乗りもの 2010年7月号)

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