No.43

初めての、人に作ってもらったお弁当。

東京都八王子市 茅野恵美子(64歳)

 ウチの息子のお嫁さんは、ホントにいつも元気印で気は利くし、とにかく何でもできる完璧な嫁さん。息子もいい嫁さんに来てもらったなあと感謝しているんです。
  その嫁さんが元旦に我が家に来まして、いつも元気印の嫁さんが落ち込んでいて、姑の私にいろいろと話をしてくれたんです。
  嫁さんは男の子と双子で生まれた妹です。お兄ちゃんがとにかくやんちゃで、どんどんエスカレートして中学・高校とお母さんはホントに大変だったそうです。一方、嫁さんは、とにかく自分のことはしっかり自分で全部やって、そのたびにお母さんから「アンタは手がかからない子」「アンタはいい子」と言われて育ってきたという話をしてくれました。そのときに、私は “ああ、そうかぁ” って思いました。
  私が「お願いね!」って言うと、「お義母さん、大丈夫です」と何度も言う嫁さんは、何でも人に迷惑かけないように、自分一人で生きてきたんだなあと思いました。そして、そう思えたら、嫁さんのことがすごく愛おしく感じられたんです。
  翌日の二日はパート先で初大売り出しがあるということで、嫁さんは朝シャンしてる(笑)。それで私は、嫁さんに何かをしてあげたくて、自分の大好きなお弁当箱でお弁当を作りました。でも、お正月はパート先でお弁当が出ると聞いてたし、 “こんなお弁当、持っていかないかな” と思っていたら、「お義母さん、もちろん持っていきます」と。
  夕方、嫁さんが帰って来て元気に一日の報告をしていて、そのときに「今日ね、お義母さんが作ってくれたお弁当をお昼に食べたのよ。私ね、人に作ってもらったお弁当って、初めてなの!」って。三十八歳になるまで、自分で全部やってきた嫁さんが、「初めて人に作ってもらったお弁当を食べたの!」って、言うんです。
  嫁さんはいつも元気に頑張って生きてきた。だけど、やっぱりさびしくて、やっぱり甘えたくて、そういう気持ちがいつもいつもあって。だから、いつもいつもいい妻、いいママ、いい嫁さんをしてきてくれたんだなあって、思いました。
  今、姑の私は、そういうお嫁さんをいよいよ愛おしいと思える心になれて、本当に心が豊かです、しあわせです。

(2008年6月 在家仏教こころの会幹部研修会)

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